「IT産業の非常識」を語った元・日本ユニシス社長
『今』、ITプロジェクトを成功させたい
と思っている人の為の
Webインテグレーター細川です。
今回は、
僕が
「IT業界にとっての非常識を常識に変える」
ことを経営理念に掲げるキッカケになった、
元・日本ユニシス社長・籾井さんの記事について触れたいと思います。
籾井さんと言えば、今(2016年10月現在)はNHK会長をされていて何かと話題になっている方です。
その記事というのは、
『「IT産業の非常識」を語った日本ユニシス社長』
です。
※注意(籾井さんが言っている「非常識」と、弊社経営理念の「非常識」は別ものです)
2006年の日経ビジネスに掲載された記事なので、もう10年も前の記事なんですね。
当時、大手IT企業の社長が講演などで喋る時は、各社の経営ビジョンや戦略が披露されるのが通例なのだそうですが、
籾井さんは、自分で思ったことを自分なりに話したそうで、かつその内容が異例のものだったので、ちょっとした話題になったようです。
詳細は上述したリンクを見てほしいのですが、
籾井さんは三井物産出身の方で、そこでは鉄鋼一筋だったようです。
なので、IT産業には明るくなく、門外漢として日本ユニシスに赴任したようです。
そんな籾井さんが、IT Japan 2006の講演で語ったのは、以下のことでした。
・曖昧な商慣習
・3文字の業界用語
・コミュニケーション(相互理解)の欠如
・社会インフラに求められる品質
・米国が支配する先進技術
・過密した市場
・赤字プロジェクトの原因
・解決すべき高度技術者不足
・ベトナムに感じたこと
・IT立国 日本?
・幸福な社会生活とITの利活用
日本ユニシスに赴任して1年経ったころ、↑こんなことを感じたそうです。
上述した日経ビジネスの記事、一部抜粋します。
『問題は、どのようなシステムを使いたいのかを顧客がIT企業に明確に伝達できないことだ。しかも、正式な契約は後回しになることが多い。曖昧な発注指示のまま、IT企業が仕事を受けて開発を始め、相当量のソフトを作ってしまってから顧客と話し合って正式に契約する。出来上がってきたソフトを見た顧客は往々にして「こんなソフトを頼んでいない」と怒る。IT企業は「言われた通りに作っただけです。確かに、そうおっしゃいました」と反論し、水掛け論になる。時には訴訟沙汰になってしまう。
結局は顧客の方が強いので、IT企業がソフトを作り直すことが多い。こうしたこともあって、IT企業のSEは激務を強いられ、「(開発プロジェクトの間)家に帰っていないSEが多い」(籾井社長)状態になる。にもかかわらず、IT産業が儲かっているかといえば、そうではない。あらかじめ作っておいたソフトウエアを販売する、主として米国企業の日本法人は潤っているが、顧客の要請に応じてカスタムメイドのソフトウエアを開発するIT企業の利益率は高くない。「頑張ってくれた社員にもっといい給料を払いたい。このままでは、いい学生が来ない。IT産業がみんな死んでしまう」と籾井社長は訴えた』
大手でも中小でも、業務系でもWeb系でも、
大きなくくりでいう「IT産業」は、どこもかしこも同じような状況なんだと、この記事を読んだ時に思いました。
この記事は2006年のものです。もう10年。
でも、何も変わっちゃいない。
そして、籾井さんは以下のように締めくくったようです。
『納期が大事なのは当たり前だが、もう少し余裕を持って開発プロジェクトを進められるようにできないものか。一体何を頼まれたのかをはっきりさせる余裕が必要。納期に追われて作ったソフトは品質も悪い。一仕事を終えたSEをせめて2週間くらいは休ませたい』
この発言については、おそらく賛否両論あると思います。
発注側には「ビジネス要求」というものがあって、
「そのタイミングにシステムがないと、機会損失になってしまう」
という理由で、納期が設定されていることが多いからです。
そんなこと重々承知の上での籾井さんの発言は、
IT産業が如何に
「異質」
であるかを物語っていると、僕は考えています。
籾井さんが日本ユニシスを退任されるまでの間に、
IT産業は特に変わることはありませんでした。
でも、僕は変えたい。
IT産業の中でも特にWeb産業については、まだまだ未成熟な産業なので、
顧客側も「何をつくったら効果的か」ということがわからないんですね。
まだ未成熟だし、かつスマートフォン、タブレット、ソーシャル、AI、IoT とどんどん技術が進化してるのだから、わからなくて当然なんです。
それなのに、わかっていないのに、わかっていないまま(=曖昧なまま)、
受託企業にソフトウェア(=モノ)開発(=つくる)を発注してしまうわけです。
しかも請負契約で。
曖昧なものを発注した場合に出来上がるモノがどうなるか、想像つきますよね。
曖昧なものを請負契約で受注した企業は、完成責任を負えないでしょう。
そもそも、「何をつくったら効果的か」がわかっていないのだから、
その「何を」にあたる「モノ」を「つくる」ことをお願いすること自体が、間違っているのです。
だから、
受託企業に、
ソフトウェア(=モノ)の開発(=つくる)
を発注するのではなく、
ビジネス(=コト)の継続・成長(=つづける)
を発注するのです。
受託企業は、顧客のビジネス(=コト)を継続・成長(=つづける)させるためだったら、いろいろと試行錯誤を繰り返しますよ。
そうやって顧客満足度を上げることが、受託企業の醍醐味なわけですから。
発注企業と受託企業の関係、こんなふうに変えていきませんか?
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