請負契約と「桃太郎の鬼退治」
『今』、ITプロジェクトを成功させたい
と思っている人の為のWebインテグレーター細川です。
「桃太郎」というおとぎ話を知っていますか?
そりゃ、知ってますよね。
鬼ヶ島に鬼退治をしにいく、あのお話しです。
桃太郎は鬼退治に行く途中、出会ったイヌ、サル、キジにきびだんごをあげて、家来にして、イヌ、サル、キジを連れて鬼退治に行きます。
イヌ、サル、キジはきびだんごをもらった恩返しとして、鬼退治に同行します。
イヌ、サル、キジは、先にきびだんごという褒美をもらえたから、鬼退治という桃太郎の目的に賛同して、鬼退治について行く決心をしました。
もし桃太郎が、イヌ、サル、キジに対して、
「鬼退治をしなければ、きびだんごはやらないぞ」
という態度だったら、イヌ、サル、キジは果たして鬼退治について来てくれたでしょうか?
ついて来てくれたかもしれないけれど、喜んでついてきて、「よし、鬼退治するぞ!」とはならなかったんじゃないでしょうか。
桃太郎のようになれますか?
請負契約には、「検収条件」という条件が必ずあります。
「この条件を満たせば、契約金額を支払う」
という契約上の果たすべき条件です。
請負契約においては、至極一般的な条件であり、誰も疑うことなくその条件で契約しています。
例えば、6ヵ月のITプロジェクト(請負契約)があったとします。
最初の1ヵ月目で要件定義を実施して、2ヵ月目から設計、製造に入っていくのが一般的です。
大概、要件定義には抜け漏れがあるので、設計以降の工程で仕様追加・変更(変更要求)が発生します。
発注側が想定しているサービスを実現するためには、その変更要求を受託側に受け入れてもらわないとならないので、「変更である」ということは名言せずに要求します。
一方、受託側は見積時の予算が決まっているので、変更要求を受け入れると予算オーバーしてしまいます。
なので、何とか変更要求を受け入れない方向に動きます。
こうして発注側と受託側の担当者同士は「対立関係」のポジションへとシフトしていきます。
そして5ヵ月目~6ヵ月目あたりになると、
発注側が、
「(変更要求含めて)完成できなかったら、検収書は発行しないぞ」
という切り札を切ってしまうんですね。
これって、桃太郎の話でいえば、桃太郎がイヌ、サル、キジに対して、
「鬼退治をしなければ、きびだんごはやらないぞ」
と言っているのと、何も変わらないと思うんですよ。
人間の心理は基本的に、このイヌ、サル、キジと一緒です。
受託側は、対価があってはじめて、顧客の満足度を最大化しようと動きます。
もちろんそこには、発注側と受託側の信頼関係が前提にはなると思います。
でもそもそも、完成品が定義できない契約である請負契約において、
「完成させなきゃ支払いはしない」
というやり方は、フェアではないんです。
そうではなくて、
きびだんごをしっかり与えて、鬼退治という目的を達成する支援をしてもらう。
退治のやり方は何だっていいじゃないですか。
退治のやり方(完成品)は、最初に決めたとしても、戦っている途中で形勢によって変わるんだから。
目的は、鬼退治をして皆が継続的に平和に暮らせること。
それは、ビジネスに置き換えると、
発注側が想定しているサービスが、継続して成長することです。
もし、きびだんごを与えたのにも拘わらず、イヌ、サル、キジが鬼退治に活躍しなかったら?
って思いますよね?
その時は、別のイヌ、サル、キジを探せばいいだけ。
「完成品」に拘っていては、目的を見失います。
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